バンコクの夜に、一歩踏み出したあの日。
誰も知らない街の灯りが、少し怖くて、少しだけ眩しかった。
不安だった最初の夜
トンローのネオンが滲む通りを、一人で歩いていた。
「ぼったくられたらどうしよう」「変な目で見られないかな」――
そんな不安が頭の中をぐるぐる回っていた。
それでも足を止めなかったのは、夜風に混じる異国の匂いが、なぜか心を落ち着かせてくれたから。
見知らぬ街で、自分の”勇気”を少しだけ試してみたかった。
初めての海外、初めての一人飲み。
心臓の鼓動が早くなるのを感じながらも、前に進み続けた。
気づいた危険の正体
実際に一人で飲みに出てみて、わかったことがある。
危険なのは”夜”そのものじゃない。
本当に怖いのは、”何も知らずに歩くこと”だった。
誠実に営業するバーも、親切なママのいる店も、この街にはちゃんと存在していた。
地元の常連客と笑顔で話すスタッフ、明朗会計を掲げる看板、丁寧に説明してくれる店員。
そういった”信頼のサイン”を見逃さないことが大切だと気づいた。
信頼できる場所を見極める”目”を持つことこそ、本当の意味での安全なんだと知った。
情報を集め、自分で判断し、慎重に選ぶ。
それができれば、バンコクの夜は決して怖い場所ではなくなる。
自分なりのルール
それからは、5つのルールを決めた。
このルールが、私のバンコクの夜を守ってくれている。
明朗会計を掲げている店を選ぶ ― 料金表が見える場所に掲示されているか、ウェブサイトに価格情報があるかを確認する。透明性のある店は、それだけで信頼できる証拠だ。
料金システムを入店前に確認する ― 入口で立ち止まり、「チャージはありますか？」「飲み放題のシステムは？」と聞く。恥ずかしがらずに確認することで、後のトラブルを避けられる。
日本語・英語対応のスタッフがいるかを見る ― 言葉が通じる安心感は計り知れない。メニューの説明も、料金の確認も、スムーズにできる店を選ぶようにした。
持ち物は最低限 ― 財布には必要最低限の現金とカードだけ。貴重品は宿に置いていく。身軽でいることが、心の余裕にもつながった。
飲みすぎたら無理に二軒目へ行かない ― 自分の限界を知ること。酔いが回ったら、素直にタクシーで帰る。無理をしないことが、最大の安全策だと学んだ。
たったこれだけのことで、トンローでもナナでも”安全で楽しい夜”が過ごせるようになった。
いまでは「また来たね」と笑顔で迎えてくれる人がいる。
それが、何よりもうれしい。
顔を覚えてもらえる関係、それは旅人にとって最高の宝物だ。
自由を知る旅
一人飲みは、孤独じゃなかった。
それは”自分らしい自由”を練習する旅だった。
誰にも気を遣わず、自分のペースで飲む。
好きな時に話しかけ、好きな時に黙る。
そんな自由が、バンコクの夜には溢れていた。
怖さよりも、あたたかさの方が多かったバンコクの夜。
だからこそ、あの日の一歩を今も誇りに思う。
不安を乗り越えて踏み出した一歩が、今の自分を作ってくれた。
もし今、あなたが最初の夜に少し不安を感じているなら、
焦らず、自分のペースで歩いてみてほしい。
完璧な準備なんて必要ない。
ただ、少しの勇気と、正しい情報があれば十分だ。
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バンコクの夜を、あなたらしく自由に。
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